労働者の解雇にあたっての留意点 3
先日、民間の調査会社が発表したデータによると、2004年度の全国企業倒産件数は1万3000件強となっています。その大多数は経営環境の変化に適切かつ迅速に対応できなかったための倒産、とりわけ、余剰人員の削減、つまり「整理解雇」に躊躇したために人件費の負担に耐えられなくなったための倒産であったろうと推察されます。
今回は、その「整理解雇」がどのような場合に許されるのかについて、以下にまとめてみました。
1. 「整理解雇」とは?
整理解雇とは、「企業経営の合理化、または整備にともなって生じる余剰人員を整理するために行われる解雇」です。
2. 「整理解雇の4要件」とは
整理解雇は会社側の都合によって行われるものであり、従業員に責任を負わせるものではないため、裁判所はその適法性を判断する要件として、次の4つの基準を満たすことを、判例上、要求してきました。
業務上の必要性 |
経営上、客観的に見て、人員削減が不可欠と見なされる状況にあること。 |
整理解雇回避義務 |
整理解雇を回避するためのあらゆる可能な対策が講じられたこと。 |
整理解雇基準の合理性 |
整理解雇の対象者の選定に合理的な基準があること。 |
労働組合等との協議 |
解雇の手続について、労働組合等と誠意をもって協議を行い、かつ対象者に誠意をもって十分に説明をしたこと。 |
3. 「整理解雇の4要件」に対する考え方の変化
従来、裁判所は上記4要件のうち一つでも欠ければ、その整理解雇は無効であるとの判断を下していました。
しかしながら、経営を取り巻く環境が格段に厳しさを増した現在、上記の4条件の全てを満たす余裕がなく、その間に倒産に追い込まれるケースが多くなりました。このような現状に鑑み、東京地裁は「整理解雇の4要件」について下記のような考え方を示すようになりました。
すなわち、@上記の4要件はあくまでも整理解雇が解雇権の濫用に当たらないかどうかの判断基準であり、A必ずしも4要件の一つ一つが「整理解雇」に必要な条件とはいえなく、Bこれら4要素を総合的にとらえて判断すべきである。
Copyright(C) JINJI SUPPORT INC. All Right Reserved.
|