不払い賃金改善事例 労働基準監督署 資料から
以下は実際に労働基準監督署による是正監督・指導を受けた企業の例です。
身近に思い当たるケースがあるのではないでしょうか。
※ A社 物品賃貸業 労働者数110名
【監督署の指導状況】
A社の労働時間管理は、残業申請書により時間外・休日労働時間数のみを自己申告させているものであるが、
■大多数の労働者の時間外労働時間数が一律月間20時間と申告されていること
から、1ヶ月20時間を超える時間外労働に対する割増賃金の支払いがないことが疑われた。
この点について、本社幹部を問い質したところ、時間外労働縮減対策が転じて、1ヶ月20時間を超える時間外労働については申告しない、させない環境にあることを認めたため、
▼@労働基準法第37条違反(時間外労働に対する割増賃金の一部を支払っていないこと)として是正を求め、併せて
▼Aタイムカード等客観的な記録により、各日ごとの始業・終業時刻を確認・記録すること
について指導した。
▼その他の勧告・指導状況
・法第37条第3項(管理監督者の深夜労働に対する割増賃金)
・安全衛生法第12条(衛生管理者の選任)、同第13条(産業医の選任)、同第18条(衛生委員会の設置)
・指導事項:過重労働対策、管理監督者の見直し、年次有給休暇の取得促進
【賃金不払残業の改善状況】
A社では、管理職を含む全労働者から時間外労働の実態について聴取し、時間外労働時間を再度申告させた結果、企業全体で総額 2600万円にのぼる割増賃金を支払った。
また、労働者各人ごとの各日ごとの始業・終業時刻の把握を適切に行うこととしたほか、業務の平準化、非効率業務の徹底改革、全社員による業務改善案の企画立案、ノー残業デーの設定、事務合理化チームの設置等により、具体的な時間外労働削減対策を樹立・実施した
※ B社 スーパーマーケット 労働者数50名
【監督署の指導状況】
B社の店舗の労働時間管理は、タイムカードと残業申請書を併用しているが、
■残業申請書に基づき割増賃金が支給されているが、申請時間数は月間10時間にも満たず、タイムカード打刻時刻との乖離が少なからず認められること
■毎日の残業時間のうち15分未満を切り捨てていること
■割増賃金の基礎となる時間単価の算出において、賃金月額を1ヶ月の平均所定労働時間数を超えた数値で除していること
が判明したため、労働基準法第37条違反として是正を求め、併せて
▼タイムカード等客観的な記録に基づき、労働時間を把握・確認すること。
について指導した。
▼その他の勧告・指導状況
・法第15条(労働条件の書面による明示)
・法第32条(時間外労働に関する協定の範囲を超えた時間外労働)
・法第57条(年少者の年齢証明)・第61条(年少者の深夜業)
・法第89条(就業規則の届出)
・法第108条(賃金台帳における時間外労働時間数、深夜労働時間数の記録)
・安全衛生法第12条(衛生管理者の選任)、同第18条(衛生委員会の設置)、同第100条(健康診断結果報告の提出)
・指導事項:過重労働対策、管理監督者の見直し、年次有給休暇の賃金額
【賃金不払残業の改善状況】
B社では、タイムカードに基づき時間外労働時間数等を再計算し、割増賃金の差額131万円を支払うとともに、タイムカードに基づく時間管理に切り替えた。
※ C社 旅行代理店 労働者数70名
【監督署の指導状況】
C社の営業所の労働時間管理は、TDカードと残業命令書を併用しているが、
■IDカード上の退勤時刻はしばしば深夜に至り、月間80時間に及ぶ残業時間が認められるにもかかわらず、残業命令書では1日2時間の命令・実績しか記録されておらず、これに基づき割増賃金が支給されていること
から、管理者に説明を求めたところ、自主的な勉強や親睦のために残っており、すべてが残業ではないと抗弁したものの、残業命令を超える残業の実態、必要性をある程度認めたため、労働基準法第37条違反として是正を求め、併せて
▼IDカード等客観的な記録に基づき、労働時間を把握すること
について指導した。
▼その他の勧告・指導状況
・法第32条(時間外労働に関する協定の範囲を超えた時間外労働)
・法第37条第3項(管理監督者の深夜労働に対する割増賃金)
・安全衛生法第100条(衛生管理者の選任報告)
・ 指導事項:過重労働対策、法定以外の休日労働は時間外労働の限度基準の適用を受けること
【賃金不払残業の改善状況】
C社では、管理職を含む全労働者から時間外労働の実態について聴取し、時間外労働時間を再度申告させた結果、割増賃金の差額として当該営業所だけで56名870万円を支払った。
また、時短推進委員会を設置して、具体的な時間外労働削減対策及び健康管理の徹底について継続的に検討している。
※ B社 スーパーマーケット 労働者数50名
【監督署の指導状況】
B社の店舗の労働時間管理は、タイムカードと残業申請書を併用しているが、
■残業申請書に基づき割増賃金が支給されているが、申請時間数は月間10時間にも満たず、タイムカード打刻時刻との乖離が少なからず認められること
■毎日の残業時間のうち15分未満を切り捨てていること
■割増賃金の基礎となる時間単価の算出において、賃金月額を1ヶ月の平均所定労働時間数を超えた数値で除していること
が判明したため、労働基準法第37条違反として是正を求め、併せて
▼タイムカード等客観的な記録に基づき、労働時間を把握・確認すること。
について指導した。
▼その他の勧告・指導状況
・法第15条(労働条件の書面による明示)
・法第32条(時間外労働に関する協定の範囲を超えた時間外労働)
・法第57条(年少者の年齢証明)・第61条(年少者の深夜業)
・法第89条(就業規則の届出)
・法第108条(賃金台帳における時間外労働時間数、深夜労働時間数の記録)
・安全衛生法第12条(衛生管理者の選任)、同第18条(衛生委員会の設置)、同第100条(健康診断結果報告の提出)
・指導事項:過重労働対策、管理監督者の見直し、年次有給休暇の賃金額
【賃金不払残業の改善状況】
B社では、タイムカードに基づき時間外労働時間数等を再計算し、割増賃金の差額131万円を支払うとともに、タイムカードに基づく時間管理に切り替えた。
※ C社 旅行代理店 労働者数70名
【監督署の指導状況】
C社の営業所の労働時間管理は、TDカードと残業命令書を併用しているが、
■IDカード上の退勤時刻はしばしば深夜に至り、月間80時間に及ぶ残業時間が認められるにもかかわらず、残業命令書では1日2時間の命令・実績しか記録されておらず、これに基づき割増賃金が支給されていること
から、管理者に説明を求めたところ、自主的な勉強や親睦のために残っており、すべてが残業ではないと抗弁したものの、残業命令を超える残業の実態、必要性をある程度認めたため、労働基準法第37条違反として是正を求め、併せて
▼IDカード等客観的な記録に基づき、労働時間を把握すること
について指導した。
▼その他の勧告・指導状況
・法第32条(時間外労働に関する協定の範囲を超えた時間外労働)
・法第37条第3項(管理監督者の深夜労働に対する割増賃金)
・安全衛生法第100条(衛生管理者の選任報告)
・ 指導事項:過重労働対策、法定以外の休日労働は時間外労働の限度基準の適用を受けること
【賃金不払残業の改善状況】
C社では、管理職を含む全労働者から時間外労働の実態について聴取し、時間外労働時間を再度申告させた結果、割増賃金の差額として当該営業所だけで56名870万円を支払った。
また、時短推進委員会を設置して、具体的な時間外労働削減対策及び健康管理の徹底について継続的に検討している。
※ D社 不動産業等 労働者数60名
【監督署の指導状況】
D社は始業・終業時刻を労働者に出勤簿に記載させて、労働時間管理を行っているが、
■営業日報等において、出勤簿の上では認められない休日・深夜労働の実績が認められること
■振替休日制度において、振替休日が取得されなかった場合においても、割増賃金が支払われていないこと
から、労働基準法第37条違反として是正を求め、併せて
▼タイムカード等客観的な記録に基づき、労働時間を確認・記録すること。
▼振替休日制において、振替休日が与えられなかった場合には、当月の賃金において休日労働割増賃金を支払うこと
について指導した。
▼その他の勧告・指導状況
・法第15条(労働条件の書面による明示)
・法第89条(就業規則の届出)
・法第108条(賃金台帳における時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数の記録)
・安全衛生法第12条(衛生管理者の選任)、同第18条(衛生委員会の設置)、同第66条の4(定期健康診断結果に基づ<医師からの意見聴取)、同第103条(定期健康診断個人票の作成、保存)
・指導事項:過重労働対策、1箇月単位の変形労働時間制において時間外労働となる場合の取扱い
【賃金不払残業の改善状況】
D社では、社内調査の結果、時間外・休日・深夜労働割増賃金の差額として、140万円を支払った。
また、社内に労務管理に関する新しい委員会を設置し、労働時間管理、残業削減対策、健康管理手法等について見直しを行っている。
※ E社 ソフトウェア業 労働者数170名
【監督署の指導状況】
E社では、製品開発担当者に対して、みなし労働時間7時間の専門業務型裁量労働制を採用しているが、
■休日出勤、深夜業に対し、割増賃金を支給していないこと
■出社時刻を定め、これに遅刻した場合は賞与を減額していること
から、法第37条違反(法定休日労働及び深夜労働を行わせているにかかわらず、法定の割増率で計算した割増賃金を支払っていないこと)として是正を求め、併せて
▼裁量労働制適用者の休日労働・深夜労働時間数を確認・記録すること
▼裁量労働制適用者には、労働時間の配分について具体的な指示を行わないものであることから、出社時刻を厳格に適用することは同制度になじまないものであること
について指導した。
▼その他の勧告・指導状況
・法第15条(労働条件の書面による明示)
・法第24条(労使協定なく賃金の一部を控除)
・法第32・35条(時間外・休日労働に関する協定の範囲を超えた時間外・休日労働)
・安全衛生法第12条(衛生管理者の選任)、同第18条(衛生委員会の設置)
・ 指導事項:過重労働対策、振替休日が取得できなかった場合の賃金の支払、VDT作業における労働衛生管理
【賃金不払残業の改善状況】
E社では、裁量労働制適用者の深夜・休日労働時間数を把握することし、末支給の割増賃金1350万円を支払った。
※ F社 美容業 労働者数20名
【監督署の指導状況】
退職労働者からの過去2年間分の時間外労働が・休日労働手当の未払いについて申告があったもの。
F社ではタイムカードを使用しているが、
■タイムカード上明らかに時間外労働を行わせているにかかわらず、割増賃金を支払っていないこと
■休日労働を行わせた場合、法定の割増賃金額を下回る1日7000円の手当を支給していること
から、法第37条違反として是正を求めた。
会社側は休日労働については違反を認めたが、時間外労働については食事時間などがあり、すべてが残業ではないと抗弁したため、社内調査を実施し、労働時間と認められる部分について遡及支払い方指導した。
【賃金不払残業の改善状況】
F社では、判明した時間外・深夜・休日労働に係る割増賃金の不足額として,過去2年に遡り110万円を一旦支払ったが、労働者はこれを不服として、簡易裁判所に対し調停を申し立てた。