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能力不足を理由とする解雇

 

能力が著しく劣る社員に辞めてもらいたいとき、できるだけ話合いにより合意退職にもっていきたいところですが、再三の退職勧奨にも応じてもらえず解雇を選択せざるを得ないケースもあるでしょう。ところが裁判所は能力不足による解雇を厳しく規制しているため安易に解雇してしまうと被解雇者から訴訟を起こされた場合、多額の金銭の支払いが必要となることがあります。それでは、能力不足を理由とする解雇の有効性を高めるためには、会社はどのような対応を採るべきなのでしょうか。

 

1.             指導・教育を相当の期間行ったか

裁判例によれば、解雇前に少なくとも1年以上にわたり複数回の指導や注意を行うことが求められます。ただし、特定の能力を発揮することを期待して比較的高額の賃金で採用された人材が予定された能力を全く発揮できなかったような場合には、指導や教育を一切行わなくてもその解雇が有効とされた例があります。

 

2.             指導・教育を行った証拠があるか

口頭で何度も指導を行ったとしても、証拠がなければ裁判所はそれを認めないようです。指導書や面談メモを必ず作成し、いつ、どのような指導を行ったかを書面にて残すことが解雇の有効性を高めるために重要です。

 

3.             具体的な改善項目を設定したか

「○月▲日までに××という勤務態度を改めること」など指導面談の際に具体的な改善項目を設定し取り組ませたかについても、解雇の有効無効を判断する重要な要素になります。改善項目設定にあたっては、@適切な達成期限を設けること A本人の意見を聴取して改善項目を設定しその項目に対する同意を得ること B改善項目の内容が実現可能な目標であること、がポイントとなります。達成不可能なあまりにも高い目標を設定すると、会社が退職に追い込むための嫌がらせをしたと受け取られかねないので注意が必要です。

 

4.             配置転換を行ったか

配置転換や業務の異動を行うことにより、その社員に遂行可能な業務を探してできるだけ解雇を回避する努力をしたか否かも判断材料になるようです。

 

5.             まとめ

最終的な判断は裁判所がするため、こうすれば必ず解雇が有効と判断されるとは言えませんが、安易に解雇を選択したのではなく、指導を繰り返して解雇を回避するための努力をしたにもかかわらず本人に改善の姿勢が見られなかった、と認められた場合に有効性は高まるのではないかと考えられます。



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