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制裁制度の運用について

 

従業員が仕事上のミスを犯した場合や遅刻した場合などに、給与から一定額を控除するルール(制裁制度)を取り入れている会社は意外と少なくないようです。

「制裁制度の運用」について労働基準法上、注意すべき点をまとめました。

 

1.            制裁規定の制限

労働基準法第91条では『就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない』と規定されています。

※平均賃金とは、過去3ヶ月間に支払われた給与総額÷その期間の総日数で求めます。(日給者・時給者等には最低保障額あり)

 

2.            具体例

例えば、平均賃金1万円の従業員が1回のミスを犯したときに減給できる額は最大で5千円。1回5千円のミスを7回以上犯したとしても、その月の給与が30万円とすれば、その月に3万円を超えて減給することはできない、ということになります。

 

3.            制裁制度の運用

1回の事案について、制裁額を定額として定めるのであれば、一番給与額が少ない方の平均賃金の半額以下に設定しておくことが実務上運用しやすいということとなります。なぜならば、給与の多い少ないに関わらず誰に対しても違法とはならないからです。

例)月給18万円であれば、3000円(18万÷30日÷2)※一ヶ月が30日間の場合

もっとも、個人の能力と責任に基づいて給与が決まっているのであれば「平均賃金の半額を減給する」として給与の高い従業員のほうが減給額が多くなってもいいという考え方もあります。

 

4.            注意点

「遅刻3回で5千円の罰金」などという制度はありがちですが、これは全ての従業員の平均賃金が1万円以上でなければ違法となってしまうことがあります。遅刻2回までは減給されないのですから、3回遅刻して初めて1つの事案となることに注意が必要です。

なお、遅刻した時間分を給与から控除することは制裁にはあたりません。

また、法第91条は給与だけではなく賞与についても適用されます。賞与からも制裁として10%を超えて減給することはできません。しかしながら、減給ではなく査定によって賞与額が標準よりも少ないのであれば法律上特に問題はありません。毎月の給与において減給することは本人への戒めとはなりますが、賞与や昇給・昇格などで対応するほうが給与管理上は運用しやすいといえます。               



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